インプラント

前歯のインプラント治療について

前歯のインプラント治療の場合は、別途費用がかかってしまうことがあります

基本的には、奥歯でも前歯でもインプラントそれ自体の費用は変わりませんが、前歯のインプラント治療の場合は、別途費用がかかってしまうことがあります。

大きく分けると2つの理由があります。

一つは「骨を増やす為の治療」、もう一つは「審美についての治療」です。
これらの治療が必要な場合は、結果としてインプラントの費用がかかってしまうことがあります

先に要点だけ記しておきましょう。

  • 前歯の骨は、もともと薄い
  • 骨の吸収があると、骨を増やす治療が必要
  • 骨を増やさずインプラントすると、審美性に欠けることがある

顎の骨にしっかりと厚みがあり、骨密度も十分であれば問題なくインプラント治療は行えます。
(実際には、皮質骨と海綿骨のバランスも見ます)

そして骨が太い下顎でしたら、前歯のインプラントでもあまり問題にはなりません。
しかし、上顎の前歯の骨は海綿骨(柔らかい骨)の割合が多く、さらに薄いのです。

とくに日本人の骨の特徴として、欧米人のそれと比べると全体的に薄いという傾向があります。

インプラントは、顎の骨にフィクチャーを埋め込む必要があります

骨に厚みが無ければ、それだけ埋入は難しくなります
無理に埋入しても露出してしまいます。

つまり、前歯の場合は骨が薄いことが原因で、そのままではインプラントできないことがあるのです。

「骨の吸収」についても、また憂慮すべき点

歯は抜けてしまうと「骨の吸収」というものが始まります。
歯には「歯根」がありますが、この歯根は顎の骨の一部である「歯槽骨」によって支えられています。

この歯槽骨は“桶”のようになっており、いわば歯の根っこの入れ物です。
(歯根と歯槽骨の間には「歯根膜」というものがありますが省略いたします)

人の体というのは面白いもので、使われなくなった体の機能は次第に疎かになっていくのです。
歯もしかり。

歯が抜けてしまうと力がかからなくなったことで、今まで歯根を支えてきた歯槽骨は痩せていきます。
これが「骨の吸収」です。
歯槽骨の上には、覆いかぶさるように歯茎(ハグキ、歯肉)があります。
骨の吸収が起こると歯槽骨の高さが失われ、歯肉もそれにしたがって後退していきます。

骨の吸収は、歯が抜けることだけが原因ではありません

歯ぎしりや歯周病によっても、また歯槽骨は失われていきます。
しかし歯周病の場合は、破壊と表現した方が適切です。
歯周病によって歯槽骨(と歯根膜)の破壊が始まった場合、歯肉はあまり後退しないため気がついたら手遅れということがあります。

このように、もともとの前歯の上顎の骨が薄くてインプラントが難しい場合。
あるいは、骨の吸収があったためインプラントが難しい場合であっても、インプラントできないというわけではありません

骨の吸収の程度はあれど、どなたにもあります。
歯周病によって歯を失われた場合も少なくありませんから、歯槽骨が減っているということは想定内のことです。

もし骨の吸収が大きくてインプラントに支障があっても、骨を増やす治療にて対処できます。

「ボーングラフト」といって、上顎への骨移植(骨再生、骨造成とも)をします。

こちらの方法や費用等につきましては、その時々の部位や骨の大きさによって方法が異なります。
またインプラントにつきましても、1ピースインプラントや銀の人工歯冠など、前歯のインプラントには向かない種類があります。

それらにつきましては、カウンセリングにて詳しいご説明をさせていただいております。
その他どのような事でもお問い合わせください。

さて、ここまでのご説明をまとめますと、

  • 上顎の前歯の骨は薄い
  • 歯槽骨の吸収があると、インプラントが難しくなる
  • 問題があっても骨を増やすことでインプラント治療は可能

前歯のインプラント治療におきまして、費用がかさむ原因となるのが以上の事です。
とくに唇側(表側)の骨の吸収の度合いによっては、そのままではインプラントできない場合があります。

骨を増やす治療をしなくてもインプラントできることもありますが、前歯のインプラントの場合は少し違った問題が生じる事があります。
「審美性について」の問題です。

前歯というのは、とくに審美性が問われる部分です。
テレビのコントなどで芸人が前歯を黒く塗っているのをご覧になったことはありませんか?

あれは前歯(門歯)の一本を黒くすることで、欠けた(抜けた)ように見せているのです。
お気付きかと思いますが、前歯が一本ないだけで著しく審美性が損なわれます。
前歯のインプラント治療で費用がかかるのは、骨の状態、そしてこの審美性においてです。

前歯の場合、唇側の骨の吸収があると歯肉が上に後退した感じになってしまうことがあります。

そのままでインプラントすることは可能でも、審美的な問題が出ることがあります

前歯の場合は、隣の歯とのバランスが取れていなければなりません。
その部分だけ歯肉が後退していると、インプラントをした歯の根本が大きくずれて、目立ってしまうことになります。

隣の歯の歯茎とのバランスを整えるため、インプラントに色をつけて目立たなくする治療方法もあります。
「ピンクポーセレン」といって、セラミック冠の半分ほどをピンク色に染めるのです。

実際には歯肉ではございませんが、これをすることで、多少は目立ちにくくすることができます。

しかし、あくまで“目立ちにくい”ことしかできません。
見た目はどうであれ全く気にならないということでしたら、白いままでも機能的には問題はありません。
(問題がないように処置いたします。問題がある場合は、治療のご提案をさせていただいております)

ただし、歯周病によって歯槽骨などの歯周組織の状態が芳しくない場合は、そちらの治療のご検討をお願いしています。
回復治療を行わずそのままインプラントをすると、あとあと歯肉が後退していくことがあるからです。

先ほどご説明させていただきましたボーングラフトは、このような審美についての治療目的にも使われます。
歯槽骨の上には歯肉が覆いかぶさっておりますが、骨を増やすことで、本来その場所にある歯茎が来るように修復できるのです。

その結果、どの歯がインプラントなのか分からないようにすることが可能です。
人工的に増やした骨や歯肉は、場合によっては再び吸収されてしまうこともあるのですが、概ね良好な状態にする事ができます。

前歯の審美性の重要さについて、ご理解いただけましたでしょうか。
当院では、とくにこういった「歯と歯茎の美しいバランス」を大事にいたしております。

機能的なインプラントだけではなく、他の歯のラインや歯茎とのバランスを考えた審美的に優れたインプラントをご提供しています。

歯列黄金比「デンタルゴールデンプロポーション」

前歯の並びには、最も健康的で美しいとされるバランスがあります。

例えば、スマイルラインは、笑顔の時に前歯の先端のラインが下唇の内側のラインに沿っていると美しく見えます。
ガムラインは、歯茎と歯の境目のラインが左右対称の曲線ほど、その歯は理想的なバランスが取れているように見えます。
ミッドライン(正中線)は、歯列の中心ラインが鼻のラインに沿っていると、笑顔が美しく見えます。

さらに、これらラインだけではなく、歯の色や質感(透明感や凸凹)、歯の形や大きさ、顔の輪郭とのバランス‥‥。
歯肉においては、血色の良いピンク色、歯周ポケットは2mm程度、そして左右対称であること。

このようにすれば、歯と歯の間はシャープに引き締まり、空隙がなく、より美しく見えるのです。
患者様の個性に合わせて歯のプロポーションを整えていき、理想的なお口の美しさの追求をしています。
これはインプラント治療に限ったことではなく、当院では全ての治療においてこうした取り組みを行っています。

前歯のインプラントの治療について、いかがでしたか?

主に上顎の前歯についてでしたが、下顎の前歯にも舌下動脈といった太い血管や神経が通っております。

こちらにつきましては、最新の歯科用CTといった機器を導入し、精密な3D画像にて、患者様の顎の組織をしっかりと把握いたします。
万が一にも事故など起きませぬよう、細心の注意を払い、治療にあたることに努めております。

前歯のインプラントでしたら、ぜひ興学会、新橋歯科診療所にお任せください。