インプラント治療の費用についてでも書かせていただきましたが、インプラントは自費診療になりますので、医療費が高額になってしまいます。
今回は、患者様の負担を少しでも軽減できればという思いから、インプラント治療の医療費控除についてご説明させていただきます。
- 医療費控除とは一体なんでしょう。
- インプラントは自費診療ですが、医療費控除が受けられるのですか?
- どのように申告すればいいでしょうか。
医療費控除とは、支払った医療費が高額となった場合に、その医療費の一部を控除することができる制度
ただし、医療費控除は患者様ご自身が、税務署に申告をしなければなりません。
申告する際、専用申告用紙が必要となり、それに必要事項を記入しなければなりません。
それはさておき、まず必要となるのが、「領収書(レシート)」です。
領収書だけは無くされてはどうすることもできませんから、これだけはお手元に大切に保管していただきますようお願いいたします。
さて、領収書の整理さえしておけば、あとは難しいことはありません。
管轄の税務署にて、担当者から詳しい話をうかがいながら、申告書を作成すればよいのです。
これまでに、すでに医療費控除の申告をなされたご経験のある方は、手順などは概知のことでしょう。
しかし、初めての申告では分からないことだらけだと思います。
ですから、領収書だけ整理して、あとは税務署の担当者にお任せしてしまうのが一番確実です。
それでは、もう少し詳しいお話をしてみましょう。
「支払った医療費が高額」とありますが、具体的には「10万円以上」となります。
所得税の5%でもいいのですが、インプラント治療の場合、多くは10万円以上となるでしょう。
細かい計算などもまた、税務署の担当者にお任せしてしまいましょう。
医療費控除は、支払った税金の中から一部医療費が控除されます。
「支払った税金」とは「所得税」のことです。
所得税から控除されるので、所得税が大きい方が申告された方が、より多くの額が戻ってきます。
またインプラント治療を受けたご当人だけでなく、医療費控除は、ご家族の為に支払った(歯科だけでなく全ての)医療費も含まれます。
つまりご家族全員で、医療費控除の対象となる医療費を合わせて、最も所得税を多く支払った方が医療費控除の手続きをすればよいのです。
生計を共にしているご親族であれば、離れて暮らす学生様などまで一緒に手続きすることができます。
義母様のインプラント代などでも、問題なく申告することができるのです。
その年の1月1日~12月31日までの期間に支払った総医療費
医療費控除は還付申告といいまして、受け付け期間は1月1日~3月15日まで。
確定申告は2月16日~3月15日ですから、医療費控除の申告は確定申告をする時に一緒に税務署で申告すると良いでしょう。
医療費控除は、過去5年間さかのぼって申告することができます。
すでにインプラント治療を終えられた方でも、考えてみてはいかがでしょうか。
ところでインプラントは保険の利かない歯科治療ですが、医療費控除の対象になるのでしょうか?
医療費控除については、対象になるものと対象にならないものがあります。
大雑把に申し上げますと、「病気の治療にかかる治療費」は控除の対象になります。
歯科の場合ですと、「金やセラミックを使った虫歯の治療」「乱ぐいなど噛み合わせに問題がある場合の矯正歯科」などが対象になります。
これらは自由診療となり保険は利きません。
しかし、「病気の治療」ということになりますので、医療費控除の対象として認められるのです。
もちろんインプラントも医療費控除の対象になります。
また、インプラント治療の際に、かかった諸費用、医療費すべて認められています。
CT検査やレントゲン・虫歯や歯周病の治療・手術代・麻酔代・インプラント本体・インプラント冠などです。
通院の電車やバスといった公的交通機関のほか、電車やバスでは通院が難しい方は、タクシー代も控除されます。
ただし、「自家用車のガソリン代」は控除の対象になりませんので、ご注意ください。
(駐車場代につきましては、微妙なようです)
医療費控除の対象にならないもの
「予防や健診、審美にかかった治療費」などがあります。
これらは「病気や怪我の治療」ではないからです。
しかし、対象になるかならないかは、税務署の担当者の判断に委ねられている部分があります。
例えば、付添い人の交通費などです。
同じ条件なのに、担当者によって認められたり認められなかったりと曖昧なことが多いようです。
デンタルローンやクレジットカードで医療費を支払った場合、ローン契約が成立した年に控除されるのでご安心ください。
当院では、患者様のご予算に応じて低金利のデンタルローンも用意しています。
はじめに申し上げましたが、医療費控除を申告する際に必ず必要となるのが、「領収書(レシート)」です。
当医院からの領収書は必ず大切に保管しておいてください(ローンの場合は契約書の写し)。
交通費につきましても、本来ですと領収書が必要になります。
電車ですと駅で切符を購入後、有人窓口で申し出れば発行していただけます。
ですが、実際には交通機関の領収書の発行までは面倒かと思われます。
交通手段やご利用になられましたら、日付と金額、駅名など細かくメモしたものがあれば認められるそうです。
メモの仕方にもより、なかなか難しいかもしれませんが、タクシーの領収書などがあれば、そちらだけいただくようにすると良いでしょう。
この他、申告には、源泉徴収票、身分証明書、印鑑や銀行の通帳などが必要となります。
また、年末に健康保険の利用状況の通知が郵送されてきますが、そちらも必要になるかもしれません。
先ほども申し上げましたとおり、何が認められて何が認められないか。
インプラント治療は、医療費控除を受けられることには間違いございませんが、交通機関や付添い人についての費用は曖昧です。
医療費控除の申告は、税務署で書類をもらい、申告書を作成する必要があります。
初めて申告をされる患者様へ
繰り返し申し上げますが、初めて申告をされる患者様は、戸惑うことも多いと思います。
税務署に必要書類は何と何かだけ確認の連絡を入れておき、あとは整理した領収書だけを携えて税務署の担当者にお任せしてしまうのがよいでしょう。
書類の提出は、郵送やパソコンなどからも行えるようですが、それは後々でよいかと思います。
インプラント治療の医療費控除、いかがでしたでしょうか。
医療費控除は、所得が多いかたが申告した方が、戻ってくる額が多くなります。
ご夫婦であれば、どちらか所得の多いかたで、ということになります。
余談ですが、所得税の多寡によって税率が異なりますので、医療費控除で申告した額そのままが還付されるわけではありません。
また、源泉徴収額が0円ですと還付金が0円になることもあるようです。
ですが例え還付金が0円であっても、医療費控除の確定申告をすれば6月の住民税が安くなるなど、無駄ではありません。
細かい交通費まで申告するのは面倒かもしれませんが、インプラント治療にかかった分だけでも医療費控除を申告すると、かなりの額が戻ってきます。
当院でのインプラント治療の際には、ぜひともお役立てくださいませ。