矯正歯科

歯列矯正と噛み合わせの関係

歯列矯正と咬み合わせは深い関係性があります。

一般に歯列矯正というと、でこぼこの歯並びを直すことや、きれいな口元にするといったイメージがありますが、噛み合わせも非常に重要な関係があります。
噛み合わせとは上下の歯が接触する部分のことを言い歯科では咬合と呼びます。

咬合状態がわるくなっている状態を不正咬合と呼び、出っ歯(上顎前突)受け口(下顎の歯が前に出ている)などが一般的な不正咬合です。
不正咬合を直すためには歯列矯正が必要です。

歯並びをよくしたいという患者様に対しても単に矯正を行うのでなく、咬合を意識して治療を行う必要があります。

不正咬合になるとどうなるの?(噛み合わせが悪いと)

  • 噛んだ時の圧力が特定の歯に集中したりすることで、歯の根っこに負担がかかり、痛くなったり、歯根吸収(歯が吸収されて溶けてしまうような症状)が生じたりします。
  • 口を無意識に閉じることができなくなり、口呼吸の状態が多くなります。口呼吸は悪い細菌が体内に入りやすく、結果免疫力の低下で全身疾患にも繋がる恐れがあります。
  • 不正咬合の患者様は顎関節症を患ってしまうケースが多くあります。口を開く際、違和感や痛みが生じたり、口大きく開けない、口を開くと顎から音が鳴ったりします。
  • 咬合状態がわるい方は、顔のゆがみがあったり(左右の目の位置が均等でない)、肩の位置が左右均等でなかったりと全身のゆがみに発展することもあります。

不正咬合のチェック方法

以下のチェック項目に該当する方は不正咬合の恐れがあります。

  • 気が付くと口が開いている。
  • 歯をきちんと磨いているつもりなのに虫歯になりやすい。
  • 口を大きく開けたときに、顎(あご)の関節が痛いもしくは、音が鳴る。
  • 顔が歪んでいるもしくは、左右対称でない。

なぜ、不正咬合になるのか?

不正咬合は先天的な原因もありますが、普段の癖や姿勢なども大きく影響します。

下顎は上顎と違って、普段の癖などで咬合状態が変化しやすく不正咬合の原因となってしまいます。

以下項目に心当たりある方は要注意です。

  1. 頬杖をつく

机に肘を立てて、顎をささえていませんか?また、床に寝そべってテレビなどを見ている時に両手で顎をささえていませんか?

  1. 唇を巻き込む

普段、気にされない方が多いですが、下唇を巻き込むしぐさをしていませんか?
これは人の心理で感情を抑えたり、緊張したりすると無意識にでてしまうしぐさなので、意識してみてください。

  1. 横向きで寝る

睡眠時に左右どちらか一方を向いて寝ていませんか?常に横向きで寝ると一方の顎に負担がかかってしまい不正咬合の原因となってしまいます。

不正咬合を直すには?

不正咬合を直すには歯列矯正を行います。

治療には「矯正装置」を使用し歯に一定の力を加えて人工的に動かし、歯並びやかみ合わせを矯正します。
一定の間隔で力の加え方を調整して正常な咬合に近づけていきます。

歯並びが見た目上、きれいに並んでいても、上下の歯がきちんと噛み合っていなければ不正咬合が治ったとは言えないのです。
最近ではマウスピース型の矯正やホッピングなどのMFT(口腔筋機能療法)トレーニングを併用するケースもあります。

歯列矯正の流れ

歯列矯正は以下のような流れで行います。

    1. 初診
    2. 精密検査
    3. 治療計画の決定

初診

当院では、問診表による患者様のお悩みのヒヤリングおよびお口の中の状態、これまで受けてきた治療内容を確認し、治療の種類や費用をご説明いたします。

精密検査

治療計画を決定する上で必要となる各種検査をします。

  1. 患者様の顔貌およびお口の中の歯並びの状態を撮影します。
  2. 患者様の歯形を取り検査用の歯科模型を作成します。
  3. レントゲン機器を用いたエックス線撮影をします。

歯科線用語で言うと頭部X線規格撮影装置(セファロ撮影装置)といいます。

頭部を固定した状態で同じ方向、同じ拡大率で撮影します。
治療療過程で都度撮影をし、歯が正常な位置に移動しているかの確認をします。

治療計画の決定

初診と精密検査の結果から患者様に応じた治療計画を決定します。
特に12歳以下の小児の患者様は早期治療を行います。

永久歯が生えそろう前に顎を広げる装置や不正咬合となる癖を直すことで抜歯をせずに改善が見られるケースもあります
成人の患者様の歯列矯正はマルチブラケットを用いて治療を行います。

マルチブラケットとは、歯の1本1本に”ブラケット”と呼ばれる小さなボタンを特殊な接着剤を用いて貼付けます。

それぞれのボタンの溝に針金をいれて固定する装置です。
マルチブラケットは金属性のものが主流ですが、審美性を考慮したセラミック製のものや、プラスチック製のものなどもあります。
治療完了までは約1ヶ月に1回の来院で、1~3年かかる場合もあります。

矯正治療に伴うリスクについて

歯列矯正中のリスクに関してご説明します。

虫歯や歯周病

矯正治療器具を使用している間は、器具の周りに歯石や汚れがたまりやすくなります

矯正中に虫歯になってしまうと、一旦矯正器具を外して虫歯治療を行わなければならないため、治療期間が長くなります。
また、磨き残しが歯茎にたまると歯周病のリスクも高まります

クリニックでは矯正装置をつけてからのブラッシング指導が行われます。
矯正中の虫歯や歯周病を防ぐためにも器具の周りをきれいにブラッシングすることが重要となります。

歯根吸収

歯を動かす際、力を加える影響で歯の根っこが吸収する場合があります。
痛みなどはありませんが、吸収具合が著しい場合は矯正を一旦中止し、再度治療計画を見直す必要が出てきます。

装置材料に起因したアレルギー

矯正器具は様々な金属素材が使用されています
金属アレルギーなどをお持ちの方は事前にご相談ください。

必要であれば、事前にパッチテスト等行うことでアレルギー症状のない素材で矯正器具を作成します。

歯列矯正で健康で美しい口元を

嚙み合わせと歯列矯正は関係性が深く、切っても切れない関係であることがお分かりいただけたと思います。

嚙み合わせの悪さを放っておくと顔だけでなく体全体の歪みへの発展、口呼吸による免疫力の低下のリスク、頭痛の原因、歯を失ってしまう恐れもあります。

不正咬合は歯列矯正で治療ができます。
歯列矯正のリスクを回避することで正常な嚙み合わせで健康で美しい口元を手に入れることができます。