歯周病

人類史上最大の感染症地球規模で蔓延(ギネスブックに掲載)

アルツハイマー(痴呆症)や糖尿病、動脈硬化などにも大きく関与

ギネスブックに人類最大の感染症と紹介され、痴呆症や糖尿病、動脈硬化などの大きな原因に成る事が明らかに成っている。感染症が歯周病です。歯周病は歯茎に炎症が起こり、歯を支える骨が破壊される病気です。
厚生労働省が平成23年に行った調査(※1)によると成人の日本人の8割以上の人に歯周病の症状があったと報告されています。
15歳以上で76% なんと8500万人以上(※2)なんと3人に2人が歯周病なのです。このことから歯周病は国民病とも言える病気で
歯を失う原因でも最も多いのが歯周病です。

歯周病の有病率、20歳代で約7割、30~50歳代は約8割、60歳代は約9割
※1:厚生労働省 平成23年歯科疾患実態調査
※2:平成28年1月総務省統計局人口推計月報より推計値を算出

医療法人財団興学会
新橋歯科診療所院長
白井 清士

  • 歯ぐきにかゆみがあります。
  • 口臭があります。
  • 朝起きた時に口の中がネバネバしています。
  • 歯ぐきが腫れて浮いた感じがします。
  • 食事の時に歯に痛みを感じる様になった。
  • リンゴをかじると歯ぐきから出血します。
  • 歯磨きをすると歯ぐきから出血が在ります。
  • 歯ぐきが腫れて色が黒ずんでいる。
  • 歯に動揺が在ります。(触ると歯が動くのを感じる)

上から順番に歯周病が進行している症状です。どれか一つでも当てはまればすぐに歯医者へ行ってください。歯周病は「サイレント・ディジーズ」とよばれ気が付かない間に大きく進行していく病気です。

歯周病とはどんな病気でしょうか?

歯周病は、感染症で唾液感染する細菌によって引き起こされる病気です。沢山の細菌が集まって、歯の表面にスクラムを組みへばりつきます。細菌同士のスクラムの中で、どんどん増えて行きます。このへばりついた細菌を歯垢と言いますが、1gの歯垢の中には何と1000億もの細菌が確認できます。歯と歯ぐきの境界にへばりついた細菌が歯肉の細胞にまで入り込んで行き、歯ぐきが炎症を起こし腫れたり、出血が始まります。これが歯周病の第一段階で歯肉炎と言う症状です。 炎症が進むと歯と歯ぐきに隙間が出来、奥へ奥へと広がっていきます。この歯と歯ぐきの隙間を歯周ポケットと言います。 この歯周病ポケットの深さを測る事により歯周病進行度を知ることが出来ます。軽度なのか重度なのかの判断が出来ます。歯肉炎がひどくなると病名が歯周炎に代わります。歯周炎は歯肉だけでは無く歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け始めた状態です。初期では、腫れてかゆみなどを感じ歯磨きの時出血したりします。更に進むと歯ぐきの色が変わり始め、口の中が粘着き、口臭が出てきます。歯がぐらつき始め見た目でも歯ぐきが下がったのが自覚できると重度の歯周病でやがて歯が抜けてしまいます。歯周病には2種類あって15年から30年掛けて進行する慢性歯周炎と2年から10年で進行する侵襲性歯周炎があります。
侵襲性周囲炎は全体歯周病の10%未満で10代後半から20代で発症し進行が早いのが特徴です。歯周病は口の中の問題だけではなく、全身の健康に様々な悪影響を与える事が明らかに成ってきました。

血管との関係
歯周病により血管内に送り込まれる、細菌によりまず起こるのが血管の劣化と硬化ですこの事により歯周病に掛かった人の血管年齢は著しく高く成ります。

糖尿病と歯周病の関係
糖尿病に成ると細菌に対する抵抗力が弱まり歯周病を悪化させます。歯周病に成ると血糖のコントロールが悪く成り糖尿病に掛かりやすくなります。その他 臨床歯周病学会では、歯周病が影響を及ぼす病気として、狭心症、心筋梗塞、飲脳梗塞、誤嚥性肺炎、動脈硬化、早産、低体重児出産、骨粗鬆症、関節炎、腎炎、等を上げています。

アルツハイマーとの関係
近年、慢性歯周病の細菌代表格であるP.ジンジバリスが生み出す毒素がアルツハイマーの患者の96%以上の確率で脳内から見つかったと論文誌サイエンスに発表され、コロンビア大学やハーバード大学などでも歯周病とアルツハイマー関連付ける研究が進んでいます。放っておくと、とんでもないことに成ってしまうのが、歯周病なのです。

歯周病に掛からない為には?

歯周病に掛からない為には、日ごろからの口腔内のメンテナンスが大切です。夜寝る前と朝起きた時1日2回の歯磨きを出来れば研磨剤が入っていない殺菌力の強い歯磨き粉を使って確りメンテナンスを致しましょう。当院でお勧めしているのはバイオジェニックペーストなどです。昔は1日3回食後3分間以内に3分磨くと言われていましたが、これは嘘だったことが明らかに成っています。まず食後直ぐはエナメル質が柔らかくなっているため磨かない方が良い、(食後はフロスで食べカスを確り取るのが良い)3分は磨きすぎ2分で良い、今は1日2回朝寝る前と起きた時、2cmの歯磨き粉を使って、2分間、のスウェーデン方式が推奨される磨き方とされています。ただ、毎日一生懸命磨いても、歯磨きだけではどうしても取り切れない歯垢が溜まって行きます。理想的には3ヶ月に1回の割合で歯医者で専門的にクリーニングをするのが理想的です。

痛くない、心地よいクリーニング

歯医者でのメンテナンスは痛い辛いと思っていませんか?予防大国スゥエーデンで使われているエアフローによりアミノ酸や症状に応じたパウダー状の薬品を吹きかけながら行うメンテナンスは全く痛くありませんむしろ心地よく眠ってしまう患者さんも多くいます。 又同じエアフローの機会を用いたペリオフローにより歯周病治療を行う事が出来るように成っています。

中度~重度へ進んでいくと、その歯周病の症状により様々な治療の可能性が出てきますので、歯に動揺が有るような明らかな歯周病を抱えている人は最初から歯周病専門医がいる歯医者を選んで治療を受ける事をお勧めします。

従来の歯周病治療は歯の表面に付着した歯垢や歯石を機械的に綺麗に取り除く為、様々な治療が行われてきましたが、近年歯周病菌が歯の表面だけではなく歯周病ポケットの上皮細胞の中まで入り込んでることが明らかに成っています。 図の様にたった一つの細胞の中に数百もの歯周病菌が入り込んでいます。当院では歯周病の専門医が常駐し、従来の歯周病治療にと共に歯周病ポケットの上皮細胞の殺菌を行っています。

スゥエーデンで開発されたペリソルブシステムで歯周ポケット内の上皮細胞を殺菌し新し細胞と入れ替える事の出来る新しい治療法です。 治療は簡単で、歯周病ポケットにペリソルブを塗布し30秒待つだけです。痛みは殆ど在りませんが従来使われているクロロヘキシジンの2倍以上の殺菌力がありこのことにより治療中患者様の血管内に多くの菌が入り込んだり、口腔外への菌の飛散による2次感染を防ぐ事も出来ます。菌が殺菌されることにより歯垢歯石のヌメリが無くなり、より精度の高いスケーリングを行うことが出来るのがペリソルブの大きな特徴です。

又、歯周病で大きな問題に成っているのが、インプラントの歯周病でインプラント周囲炎と言います。これに掛かるとインプラントの周りの骨を溶かしてしまいますので、最後にはインプラントが抜けてしまいます。インプラント治療においては術後自分の歯以上の確りした定期的メンテナンスが不可欠です。
当院では、ペリソルブの他に歯周病の進行具合に合わせて異なったレーザーを使って治療を行います。レーザーによりより真皮層へと薬効効果をもたらしたり、スケーリングでは届かないところまで、光を届け殺菌する事が出来ます。

更に重症患者には1.5気圧の高気圧酸素ルームに入ってもらう事もあります。体内に侵入した歯周病菌の多くは、偏性嫌気性菌で、酸素により死滅する事が出来ます。1.5気圧の酸素ルーム内では通常の10倍の溶解酸素を血液中に送り込むことが出来き歯周病菌の潜む体の隅々まで酸素を届け歯周病菌を殺菌していきます。

免疫力と代謝を確りと維持していく事で歯周病菌に感染していても歯周病を発症させない事が分かってきています。 最も活発に行われる口腔内の代謝を確り保つために欠かさないのは、必須ビタミン・必須ミネラル・必須アミノ酸です。 日常の偏った食生活で不足がちな栄養素を確りと良質なサプリメントで補う事が歯周病ケアにも必要とされています。

最後に

近年歯周病の治療における進歩は目覚ましいものがあります。多くの歯周病専門医が世界中で日々研究に取り組んでいますし、口腔外科分野においても失った歯を様々な方法で、機能回復する事が出来るように成ってきました。一旦失った骨や歯茎を再生手術によって取り戻すことが出来ますが、歯周病が進行すればするほど機能回復するまでに掛かる時間とお金が必要に成ってくるのも事実です。 1人1人がその人に合った歯磨きペーストと歯ブラシを使って、日々歯周病に掛からない用に正しいケアーの習慣を身に着け、定期的に専門医でメンテナンスに通う事が肝心です。歯医者は痛い、怖い場所では無くなってきています。出来るだけ患者様に寄り添い、患者様の意向に沿った一人一人に合う診療や、予防方法を導き出すのが歯科医師の責任です。