インプラント

インプラントとブリッジの違いと費用

インプラント1本の値段についてで、ブリッジというのはどういった治療なのか説明しましたが、今回はもう少し違った角度でインプラントとブリッジについて説明してみたいと思います。

インプラントとブリッジの違い

周りの歯に負担をかけるかけない、歯を削る削らない‥‥その他に違いを挙げるとしたら何があるでしょう?
決定的に違うのは、それぞれ「自費診療」「保険診療」ということです。

インプラント治療の費用についてでお話させていただきましたとおり、保険が適用される保険診療は、患者様がお支払いするのは1~3割負担で済みます。
7,000円かかる治療でも、1割負担ですと700円です。
では、この保険診療における7,000円という「治療費」は、どこで決まるのでしょうか。

実は、日本の保険診療には「点数」というものがあります。
例えば、一般的な抜歯だと、前歯なら150点、奥歯は260点となっております。
(親知らずは460点。難しい親知らずは1100点)

この150点に×10したものが保険治療における「治療費」となるのです。
一般的な前歯の抜歯ですと150点ですから、1,500円となります。

では、歯を削った場合ではどうでしょうか。
詰め物の場合、歯を削ると120点です。
詰める処置は52点、詰め物の材料費は13点となります。

治療費の計算

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神経が残っている(生きている歯)前歯を削ると、これだけで790点です。
ブリッジの場合ですと、抜けた歯からみて両端にある歯を削る必要がありますから、単純に計算して×2本。
6本以上のブリッジになると、点数が微妙に異なりますが、ともかく削る歯は×3本~になります。
これにが平行測定、型取り、噛み合わせ、診断料加わりますから、最終的には6万円後半から12万円前半くらいになるのです。

これは分かりやすくする為に大きく差がつく例を挙げております。
簡単に言えば少し歯を削って銀の詰め物をするよりも、たくさん抜歯して、大きく歯を削ってブリッジにした方が儲かるのです。

保険診療では、この点数というのは「かかった時間」については全く考慮されません。
1時間かけて1名の患者様を治療するよりも、30分で2名の患者様を治療した方が効率が良いのです。

つまり、保険診療の歯医者さんは、患者様一人一人に時間をかけて丁寧な治療をしても、報酬面ではまったく評価されません。
むしろ、一人の患者様に時間をかけますと効率が落ちます。
少し乱暴な表現ですが、時間をかけて細かく丁寧に削るよりも、手短に削って、さっさと抜いた方が儲かるのです。

もちろん、保険診療の歯医者さんでも丁寧にやってくれる方も大勢おられますが、商売抜きになってしまうでしょう。
国の医療費を全体でみますと、年々急速に増えております。

しかし、この歯科医療費につきましては、この20年でほぼ横ばい。
歯科医療費が占める割合では、医療費全体の10%にも満たないものです。

日本と諸外国の歯科治療との違いは?

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結論から言いますと、日本の何倍も高額です。
なぜならば、そもそもこういった保険診療がない(全て自費診療)からです。
ですから、虫歯などにならないように予防歯科にお金をかけるのです。

日本の保険制度では、予防歯科には保険が利きません
つまり、保険診療では虫歯予防や歯周病予防はできないのです。
濃厚診療といって健康な歯まで診療するのは禁止されています
過剰診療ともいいますが、つまり予防をすることができません。

日本は良くも悪くも虫歯や歯周病になっても安い費用で治療を受けることができます。

すると、どうなるでしょうか。
予防ができないので、虫歯になってから歯医者さんに行くことになります。

そして、歯医者さんに行って安い保険診療で治療を受けます。
保険診療では、補綴物に使う材料も決められていますし、最低限の限られた治療しか受けることができません
おそらく10年後には、ほとんどが再治療が必要になるでしょう。

本来は逆です。
虫歯にならないようにしっかりと予防をして、万が一に虫歯になっても、二度とそこが虫歯にならないように治療する。
治療した箇所は長持ちするようにする。
それができないのが日本の歯科医療制度なのです。

ブリッジのデメリット

ブリッジは同じ医者の立場として、あまりお勧めできる歯科治療ではありません。
これは、どの歯医者さんでも同じ意見だと思います。
健康な歯を削る、歯に負担をかける。
それよりも再治療が必要になる可能性が高く、その結果、他の歯まで失うことになりかねないからです。

保険診療のブリッジでも、自費治療を交えて品質の良い材料を選び、土台となる歯を徹底的に殺菌するなどすれば、寿命も延びるかもしれません。
しかし、保険制度では「混合診療」といって、同一の処置において保険診療と自費診療を混ぜてやってはいけない決まりになっています。
もしやるのでしたら、自費治療のみです。

ブリッジばかりを悪者にしてしまいましたが、患者様にとってそれがベストな治療法であり、ご納得された上での治療でしたら問題ありません。
ですが、「両側の健康な歯を削ります、あまり長く持ちません」などデメリットまで踏まえて説明されていなければなりませんね。