矯正歯科

部分矯正と全体矯正の違いは?

10代に乳歯から永久歯に変わるときに前歯が不揃いになってしまうことがあります。

不揃いな前歯は今後の人生にも大きな影響を与え、みんなはニコッと笑った自然な笑顔なのにあなただけ不自然な笑顔の写真になったり、歯を見せたくないからあまり笑えず「笑わない人」「暗い人」と思われてしまったりします。

治したいと思っても歯列矯正の費用は高いと思ってそのままという人は多くいます。

確かに全体矯正は高額ですが、部分的矯正ならば比較的手ごろな価格で利用することができます
今回は、「前歯の部分矯正」についてご紹介します。

部分矯正とは

費用や治療期間からイベント前や結婚式前などに利用する人が増えている部分矯正は主に前歯の矯正に使用されます。

歯並びの印象は前歯で決まると言っても過言ではないため、前歯だけでも治したいという人が多いのです。
部分矯正は少しだけ傾いた歯を数本だけを直す、少しの歪みを治すことが目的の“見た目”のための治療であり、かみ合わせに問題があるような場合は部分矯正ではなく全体矯正がおすすめです。

部分矯正が可能かどうかは症状により、専門医の診断が必要です。

また仕上がりも部分矯正は全体矯正に比べると見劣りしてしまうことが多いです。

部分矯正と全体矯正の違いは

2つの一番大きな違いは費用、そしてかかる時間です。
部分矯正の場合は施術箇所が限定されて少ないため費用が抑え、治療期間を短くできます。

部分矯正でも全体矯正でも矯正装置はブラケットもしくはマウスピースを選択することになります。

ブラケットの装置を使って部分矯正する場合の基本料は20~50万円が一般的で、月5000円程度の調節料がかかります。
治療期間は3ヶ月~1年が一般的です。
一方でブラケットの装置を使って全体矯正する場合の基本料は80~120万円が一般的で、月5000円程度の調節料がかかります。
治療期間は2年半~3年が一般的です。
マウスピースの装置を使って部分矯正する場合の基本料は35万円〜が一般的で、月5000円程度の調節料がかかります。
治療期間は3ヶ月~1年が一般的です。
一方でマウスピースの装置を使って全体矯正する場合の基本料は80万円程度が一般的で、月5000円程度の調節料がかかります。
治療期間は1年~2年が一般的です。

大人が歯列矯正をしたい理由は?

歯列矯正は永久歯に変わり始めたころの子どもがやるものというイメージが強く、大人の歯列矯正は今さらという感じがありますが長年のコンプレックスが解消されたり歯ブラシがちゃんと歯や歯茎に当たるようになるので虫歯や歯周病の防止にもつながったりします。

特に歯周病の原因であるプラーク(歯垢)は下の前歯の裏側に溜まりやすく、前歯を部分矯正することで歯磨き・デンタルフロスなどがしやすくなり歯周病を効果的に予防することができます。

部分矯正に保険は使えるの

矯正治療は基本的には保険は効きません

保険が利用できるケースとしては先天性疾患による矯正治療が必要な場合です。例えばあごの形や位置が異常とされる「顎変形症」、口の中の上側が閉鎖していなかったり唇に裂け目ができていたりする「唇顎口蓋裂」などです。

部分矯正は美容を目的とした治療が多いです。
虫歯や発音・咀しゃく障害の原因になる悪いかみ合わせや、顎関節症を引き起こす可能性のある顎の偏位は健康保険を使用できることがありますが、これらの症状は部分矯正では対応できず全体矯正が必要なケースがほとんどです。

部分矯正は健康保険は使えないと思いましょう

部分矯正の費用は医療費控除の対象?

インプラント1本の値段について

美容目的ではなく機能的な問題改善のための部分矯正であることを診断された場合は医療費として認められ、医療費控除が適用されます。

管轄する税務署ごとに判断が異なるので税務署に事前相談をし、さらに治療をする歯科医に確認。
相談しましょう。

医療費控除とは、医療に関する出費が多かった場合にお金が戻ってくる制度で、その年の1月1日から12月31日までを1つの区切りとし、その中で医療費が10万円以上かかった場合(年収200万円未満の場合は年収×5%)は、いくらかお金が戻ってきます。

所得税を納めている人は確定申告をすれば誰でも利用することができる制度です(サラリーマンでも年末調整とは別に個人で確定申告をする必要があります)。

医療費控除で申告できる医療費には通院に必要な交通費なども含まれます(公共交通機関のみ。
マイカーでのガソリン代や駐車場は対象外
)。

領収書が必ず必要なので、医療機関から発行される領収書や交通機関の領収書は大切に保管しておきましょう。
医療費控除の申請方法などについて詳細は国税庁のホームページで紹介されているので確認しましょう。

 

部分矯正のメリット

部分矯正の1つ目のメリットは安いことと短期間で歯列を矯正できることです。

全体矯正に比べて部分矯正の費用は全体矯正の20分の1~10分の1、治療期間は半分以下となっています。
全体矯正では経済的負担が大きいという人は部分矯正を選択する傾向があります。

2つ目のメリットは気になる部分だけを治療できることです。

前歯を部分矯正する人が多いのは人に良く見られるところだからキレイにしておきたいためです。
前歯だけの治療ならば矯正装置による痛みが少なく、精神的・身体的負担が全体矯正に比べてとても少ないです。

前歯だけの部分矯正の場合は矯正装置も目立ちにくく、かみ合わせの変化も比較的少ないためかみ合わせの変化による違和感も少ないです。

部分矯正のデメリット

全体的に歯並びが悪かったり、かみ合わせが悪い場合はそれを部分矯正で治すことは出来ません。

部分矯正は部分的な歯の歪み・いびつさを矯正するのに向いているため全体の治療のバランスは整えることができません
仕上がりも全体矯正に比べてやや見劣りするケースが多いです。

また一部のみ矯正するので部分矯正のときに歯と歯の間を削る量が全体矯正に比べて多いです。
前歯は薄いのでエナメル質も削れてしまう可能性もあり、エナメル質がはがれると冷たいものがしみるなどの原因になります。

部分矯正の治療期間中の注意点は?

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大人になると歯ぐきや骨が固まってしまっているので、その状態から動かすことは痛みがあります。
痛みが強いときは痛み止めを飲みましょう。

ただし痛み止めの薬(鎮痛薬など)の中には歯の動きを悪くする成分が含まれていることがあるので歯科医に相談して痛み止めを最低限で服用するようにしましょう。
治療期間中は歯磨きの他にデンタルフロス歯間ブラシを使って丁寧に歯を磨きます。

それは部分矯正は歯の表面を削っているので歯周病になりやすい・歯周病が進行しやすい状態になるからです。
また矯正装置がついているとプラークがつきやすい状態になっており、治療中は歯が揺すぶられて動くので歯周ポケット内が汚れやすいためです。
少なくても3ヶ月に1回は歯科医院へ行き、歯垢や歯石をとってもらいましょう。

自分にあった方法の治療を選ぶ

歯列矯正はより美しくなるための整形と同じで、保険が効きません。
10割負担なのでお金がかかります。

それでも部分矯正は全体矯正よりも比較的安価な治療法であり、部分的な症状だけに対応するので痛みも治療期間も少なくすみので経済的負担に併せて身体的・精神的負担も少なくなっています。
大事なときの前にキレイになりたいという人にピッタリの治療法です。

一方でかみ合わせの改善や顔の歪みを治したいという人には不向きな治療法です。
歯を削って無理やり揃えるため歯を削る部分も多く、虫歯や歯周病を引き起こしてしまうことも多いです。
場合によっては矯正ではなく被せもので対応することも検討材料にすべきです。

部分矯正、全体矯正は一長一短となっています。
どちらが良いかしっかり比較したうえで、自分にあった治療を選ぶようにしましょうね。