メディア掲載情報

歯周病の現状と「ペリソルブ」の活用 – 日本歯科新聞に掲載

日本歯科新聞社

「ペリソルブ」の活用 歯周病の現状

日本歯科新聞 スウェーデン・イエテボリ大学 日本スクリーリング事前座談会の様子

ペリソルブは歯周病を除去することが可能な新薬剤

ペリソルブとは、歯科先進国と言われるスウェーデンで開発された虫歯治療薬「カリソルブ」を歯周病治療用に進化させた、歯周病治療薬剤です。
カリソルブ・ペリソルブは、歯科治療において安全性が認められている薬剤である次亜塩素酸ナトリウム(食品の殺菌消毒などにも用いられる)をベースにアミノ酸を使用した治療薬で、歯周病の原因となる歯石・歯垢(プラーク・バイオフィルム)に作用してこれらを殺菌・除去し、歯周病の悪化・進行を抑えることが可能です。健康的な歯・歯茎や歯肉を傷つけることなく、歯周病の部分だけに効果を発揮します。
また、これまで副作用は報告されておらず、痛みや刺激、副作用のある抗生物質とは異なり、安心して使用することができます。

ペリソルブを患部に塗布することで、歯石や歯垢が柔らかくなり歯を多く削らなくとも除去する治療がやりやすくなります。歯周病ポケット内に潜む菌が殺菌されるため、歯根部分にこびり付いた歯垢やクリーニング時も菌が飛散して感染が拡大するリスクを低減します。

ペリオプロ(ペリソルブ療法)

歯科先進国スウェーデンの先進治療についての講習会を開催

スウェーデンでは、国の歯科ガイドラインに前述の「ペリソルブ」等の歯周病ポケットの上皮細胞を殺菌する治療が盛り込まれつつあります。その研究元でもあるイエテボリ大学の日本スクーリングが4月22日に大阪、7月1日に東京で開かれました。超高齢社会の日本で健康長寿社会を実現するためにも歯周病への対策は欠かせません。日本における歯周病の現状や、「ペリソルブ」の有効性について、日本アンチエイジング歯科学会会長の松尾通氏の司会進行で、日本臨床歯周病学会副理事長で歯周病専門医の若林健史氏、スクーリング主催者の興学会代表理事の小野芳司氏、同学会総院長の白井清士氏が語り合いました。

<松尾>歯周病に対する認識がここにきて大きく変わってきています。歯周病専門医として活躍されている若林先生は、どのように感じていますか。

<若林>20~30年前は歯科と言えば補綴が中心で、歯周病というものが歯科医療従事者の中ではまだまだ軽く見られていた節があり、「歯周病を中心に診療している」と言うと、「そんなことをやっているのか」と言われるような時代でした。
それがここ数年、歯周病と糖尿病や誤嚥性肺炎、骨粗鬆症、低体重児出産、アルツハイマーなどとの関係を示すデータが出てくるようになりました。マスコミが取り上げるようになったこともあり、国民が歯周病が怖い病気だと気づき始め、歯科界でも脚光を浴び始めたのだと思います。

<松尾>日々の臨床の中で、患者さんの関心などに変化はありますか。

<若林>私は歯周病の専門医として診療所を経営しているので、ホームページでも歯周病を中心にした内容にしています。今までは審美や、インプラントなど補綴的な要望で来院する患者さんが多くいたのですが、ここ2、3年は、ホームページを見て、「私、歯周病かもしれない」「ちょっと心配」といった電話が増え、歯周病が主訴の新患が多くなってきました。

<松尾>ここ数年の歯周病への関心の高まりは、歯科治療に革命が起きているとも捉えられる変化だと思います。全身との関係、特に微少炎症が身体の様々なところで悪影響を引き起こすことが明らかになってきました。その微少炎症の最たるものが歯周病で、医科も歯科も含めて解決しなくてはいけない問題として注目を集めています。歯周治療のノウハウもたくさんあると思うのですが、イエテボリ大学発の治療を日本で普及させようという動きがあり、昨年のスクーリングも大反響を呼んだと聞いています。スクーリング開催にはどのような狙いがあるのでしょうか。

<小野>スウェーデンでは、85歳の残存歯数の平均が25本と言われていますので、28本の歯が全部残っている高齢者も珍しくありません。生活習慣の一部としてデンタルケアが浸透している証拠として、同国のイエテボリ大学には、ケアユニットが72台、治療ユニットが40台ありますが、私が訪問した時はケアユニットが患者さんであふれていました。そこで使用しているのが「ペリソルブ」です。イエテボリ大学発ベンチャー企業が開発・製造しているもので、学内に工場もあります。歯周病の一番の原因とも言われるPジンジバリスの2型は、嫌気細菌ですので空気のないポケットの深部に逃げていき、そこから上皮細胞中に入っていきます。ある研究では一つの上皮細胞に100以上の細菌が確認されているのです。日本での歯周病治療の中心は歯面清掃ですが、真の歯周病治療には上皮細胞の中の細菌の殺菌も欠かせないのではないかと思います。ペリソルブは、次亜塩素酸とアミノ酸の組み合わせでできており、クロロヘキシジンの倍以上の殺菌力がある一方で、アミノ酸が正常な細胞を保護してくれるというメリットがあります。その有効性もあって、スウェーデンではペリソルブが国のガイドラインに盛り込まれる動きが出ています。そのガイドラインの責任者が今回の演者でもあるイエテボリ大学カリオロジー科主任教授でスウェーデンう蝕学学会副会長のピーター・リグストローム先生です。

<松尾>アメリカもそうなのですが、欧州でも大学発のベンチャーはたくさんあり、大学の教授の多くがベンチャービジネスの社長や執行役員として活躍しており、業界の発展にも大きく寄与しています。日本の大学ではベンチャーでの活躍という点ではまだまだ発展の余地はあると思いますので、海外の良いところは参考にしてほしいと感じています。

<小野>イエテボリ大学では、大学病院の隣にベンチャー棟があり、大学発の様々なベンチャーが集約されています。大学の研究を引き続きベンチャーが商品開発し、売れたものが大学に入ってくるだけでなく、上場までを大学がサポートするシステムができているのです。カリソルブ、ペリソルブもジャスダックに上場を果たしています。

<松尾>上場したくらいなので、ペリソルブはヨーロッパでも注目の治療法なのでしょうね。白井先生は興学会の診療所の責任者として、実際にペリソルブを使っていらっしゃるようですが、率直な感想はどうですか。

<白井>ペリソルブの前に、できるだけ歯を削らないMIの観点からカリソルブを使っていました。5、6年の臨床を経て、カリソルブの良さを改めて実感している時に、同じような成分で軟組織に作用するというペリソルブの開発を知りました。
実際に医院で導入してみると、歯科衛生士からの評判が良く、患者さんからも痛みが少ない点から喜ばれましたので、SRPやディープスケーリングをするときは必ずオプションで使う仕組みを取っています。力を入れて歯石を取る必要が少なくなった分、飛沫も抑えられて二次感染のリスクも低減できていると思います。

<松尾>若林先生は使用したことはありますか。

<若林>私の医院でも使ってみましたが、ベテランの歯科衛生士は、今までパキパキと、こびりついた歯石を弾き飛ばすように取るというイメージが、さくさくと根こそぎ取れるようになったと言っていました。
私自身は、根面のぬめりが次亜塩素酸の効果でなくなるのか、バイオフィルムがない状態の根面をキュレットでキレイにしているので、対象部位がクリーンになっているとの実感を持つことができました。
患者さんに感想を聞いてみると、味がする訳ではないですし、少しカルキ臭のようなものはあるものの、不快な感じはしないとのことで、結果的には好評を得ています。

<松尾>両先生とも使った感触は良さそうですね。昨年のスクーリングは700人ほどが参加し、非常に反響があったと思うのですが、今回と前回では何か違いはありますか。

<小野>ピーター・リングストローム教授に加えて、今回新たにヨーロッパ歯周病学会の元総長でスウェーデン歯周病学会会長のステファン・レンバート教授に講演してもらいますので、昨年と比べて、さらに歯周病へのアプローチに焦点を当てた内容になると思います。また、スウェーデンではここ4、5年、国のガイドラインが著しくアップデートされており、スウェーデンから歯科疾患がなくなるのではないかと各国から注目を集めていますので、今後の世界の歯科医療の動きを見極める意味でもスウェーデンの現状を知っていただきたいと思っています。

<松尾>カリソルブはタービンレスで患者さんにとって優しい治療として日本で根強い評価があったのですが、健康保険の中で安くレジン充填ができることもあってか中々普及しませんでした。カリソルブやペリソルブの費用面についてはどう考えていますか。

<小野>確かにカリソルブは1万5千円前後の費用はかかってしまいます。しかし、カリソルブを使用すると接着力が増して、二次カリエス※になりにくいというデータも出ています。保険治療後の二次カリエスのリスクも考えると、決して高い値段ではないと思います。そういった意味では、国民への情報提供が必要なのかもしれません。しかし、まずは日本の歯科医療従事者の方々にスクーリングに参加していただき、スウェーデンの歯科治療の最前線と共に、カリソルブ、ペリソルブがどのように臨床に使えるのか、使った後の効果がどうなのか、メカニズムがどのようになっているのか知ってもらいたいと思っています。

<松尾>歯科医師は、患者さんのあらゆるニーズに応えるために引き出しを多く持つに越したことはないと思います。世界が注目しているスウェーデンのう蝕・歯周病治療は、歯科医療従事者として抑えておいて損はないトピックスだと思います。

※二次カリエスとは
虫歯治療に使用した詰め物や被せ物などの隙間にむし歯菌が侵入し、治療した箇所が再び虫歯になってしまうことを「二次カリエス(二次う蝕)」と言う。 二次カリエスの原因としては様々な要因がありますが、主な原因としては、詰め物や被せ物の劣化によるものが多くあります。

ペリソルブは「ペリオプロ」としてさらに進化しました

歯周病は、歯を支えている歯茎などの周りの組織で起こる病気です。歯周病菌は、歯周ポケットから歯茎の表面にある上皮細胞の中に侵入し、細胞内で増殖していき、悪化すると歯だけでなく、歯を支えている骨さえも溶かし始める恐ろしい病気です。歯を失う原因の中で最も多いのが実は「歯周病」です。30代以上では3人に2人が歯周病と言われていますが、初期の歯周病は自覚が難しく、知らず知らずのうちに進行していることが多い病気です。
また、歯周病は口の中だけの病気ではありません。細胞内にある歯周病菌は血管内にも侵入していき、全身の健康にも影響を与えます。糖尿病をはじめ、動脈硬化、心臓疾患、脳血管疾患など様々な病気の原因となることが近年明らかになっています。

歯周病は血管から侵入し全身の組織の劣化や老化を招く

通常の歯周病治療では、歯石・歯垢をエアスケーラーや超音波スケーラーと呼ばれる専用の洗浄装置で振動を与えて除去するので、強い刺激や痛みがあるほか、菌を含まれる歯石の飛散や歯茎からの出血による2次感染のリスクがありました。また、これらの一時的な対処療法では歯周病菌は除去しきれず細胞内に残存してしまい、細菌は鉄分を好むため、出血によりさらに増殖力が高まってしまうことも分かっています。

残存した歯周病菌は血液中の鉄分により桁違いに増殖

医療財団法人興学会では、虫歯治療薬ペリソルブからさらに進化した「ペリオプロ」療法を導入しました。「できるだけ痛くない、削らない、抜かない」を診療の最も重要な基本方針とし、知識と経験と最新技術を駆使して患者様にそれぞれに合った治療方法の選択を心がけています。新しく進化した「ペリオプロ」は、痛くない先進の歯周病治療として歯周病菌に蝕まれている歯茎の内側の上皮細胞を殺菌して新しい健康的な細胞への生まれ変わりを促進し、歯周病を根元から撃退する治療法です。ペリオプロでの歯周病治療はとても簡単で、ペリオプロを患部に塗布して30秒おくだけです。

ペリオプロを塗布するだけで歯周病菌を殺菌して分解する

ペリオプロは一般的に使用される治療薬、クロロヘキシジンの2倍以上の殺菌力があります。歯石や歯垢を分解し、細菌を殺菌して除去することで健康的な細胞に入れ替わり、歯周病を根本から断ち切ることができます。ペリオプロは、細菌に侵されている部分だけに作用するので健康的な組織には害を与えません。また、従来の歯周病治療のように2次感染のデメリットを避けることが可能になります。

当院では、ペリオプロで歯周病の根本治療を行った後、歯科治療の先進国であるスウェーデンで行われている予防歯科を推奨しています。定期的な歯周病予防や口腔内のメンテナンスを行うことで口腔トライブルを事前い防ぐことに繋がります。予防歯科では、虫歯や歯周病の予防として、高圧水流と微粉末のパウダーによるジェット噴射で歯周ポケット内の歯周病菌の除去にも効果の高い「エアフロー」を導入しています。従来の方法では、なかなか洗浄が行き届かなかった深い歯周ポケットにも、微粉末のパウダーが入り込み歯石や歯垢を一掃するだけでなく、通常のクリーニングでは取り除けない歯周病菌にも効果があります。

創立75周年を迎える医療法人興学会

創設75年を迎える医療法人財団興学会(所在地:東京都千代田区、理事長:白井 清士)が運営する新橋歯科医科診療所(所在地:東京都港区新橋4-9-1 新橋プラザビル2階、アクセス:JR新橋駅より徒歩3分)、赤坂歯科診療所(所在地:東京都港区赤坂5-5-18 オービス赤坂1F、アクセス:東京メトロ赤坂駅より徒歩3分)、青山歯科診療所(所在地:東京都港区北青山2-5-8 青山OM-SQUARE B1、アクセス:東京メトロ外苑前駅直結 徒歩1分)では、歯周病を根本から治療するペリソルブをさらに進化させた「ペリオプロ」治療を導入しています。